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穏やかな速報 - Gentle Breaking Newsviews

2024年初となるHIRO OKAMOTO 第17回目の展示は、岩村 寛人による 個展「穏やかな速報 - Gentle Breaking News」を開催いたします。 一見、記号的にもデジタル的にも見える作品であるが、そこには確かな作家の所作があり、陽を浴びた埃のような匂いを感じる。 本展で作家が問いかけた「穏やかな速報」。 今だからこそ改めて考えてみたい。

穏やかな速報 - Gentle Breaking Newsviews
穏やかな速報 - Gentle Breaking Newsviews

Date/Access

2024年1月27日 11:00 – 2024年2月11日 19:00

HIRO OKAMOTO, 日本、〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目32-2 K's Apartment 103

Introduction

回っている扇風機を思い描いて欲しい。

実際は高速回転しているにも関わらず、緩やかに逆回りしているように見える。

でも間違っても手を差し込んではいけない。

瞬く間に高速回転する羽根に手をグチャグチャにされてしまうから。

準備の段階だけでも執拗なほどのアクションを踏み、最後の一手においては速度と慎重さが求められ後戻りは許されない作画工程。その反面、一度仕上がるととても穏やかで静的な様を呈するこれらの作品は、自分にとって扇風機の現象と似たものを孕んでいると感じる。どうやら自分は、動きあるものが静まって見える時にとても美しいと感じるようだ。

その感覚は自分の日常体験の中にも思い当たる。

日々、我々が見つめる画面に届く戦争や自然災害などの様々な速報。間髪入れず流れてくる情報は、いつの間にか脳にとって都合いいように処理され、目の前を通り過ぎる表層的な現象に置き換えられる。画面に映る光景を一つの絵として美しささえ見出す自分に気付いた時、重大な事変であることは間違いないのに、脳の感覚の支配に抗いながら事実を本質的に理解することの難しさに直面する。東日本大震災の被災地である宮城県亘理郡にアトリエを構え、津波の爪痕の中で生活をする自分ですらこう感じてしまうのだから、蓄積される時間の中で”慣れ”というものが作り上げる靄は濃い。

穏やかに見えている現象を幾度も再現しようとするのは、自分の脳へ美という報酬を与え続けると同時に、美の本質に存在する”動き”と”時間”というものを体で認識し続け、慣れというものに抗うための生存行為なのかもしれない。

岩村 寛人

ー 個展詳細 ー

「穏やかな速報 - Gentle Breaking News」

岩村 寛人|Kanto Iwamura

会期:2024.01.27(土) - 02.11(日)

開廊時間:11:00 - 19:00 

休廊日:なし

場所:東京都渋谷区神宮前3-32-2 K’s Apartment 103

※御来廊いただく際は、正面玄関インターホンにて「103」をお呼び出しください。

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