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わたしたちは忘れ続けた。
絶えず、外部に侵され続けていることを。
他者を摂取することで、この身体を維持していることを。
この身体が、60兆ほどの細胞のあつまりである事を。
きれぎれな、存在。
わたしという、無数の他者のすみか。
生自体があまりに不確証であること。
個人という認識の、底抜けの、悲しみ。
それでも、わたしと名付けて生き続けていくことを。

本展では、5年以上にわたり継続して制作しているドット状の絵画シリーズを展開する。大学卒業後、初めての個展で発表した本シリーズは、絵画・パフォーマンス・インスタレーションと表現の幅を広げてきた現在においても、「わたし」や「わたしたち」の性質を往還しながら思考する、自身の制作の土台となるシリーズだ。

今この瞬間にも私の細胞は壊れ続け、生まれなおしているように、普段私たちが 「わたし」 と呼んでいる存在は流動的でか弱い。無数の他者で構成される集まりが一定に統合されている状態を「わたし」と呼び、わたしを繋ぎ止めるために、他者を求めつづける。


鑑賞者が画面から隔たり、ドットの集合体が鑑賞者の目で統合されることによって人物のイメージを生成すること。つまりこの作品の属性、および我々がいつも他者からの疎隔により呼び起こされていること。そしてイメージの根拠を探そうと近づくほどに、人物像は壊れ、絵画の恥部を目の当たりにすること。

これらの働きが自己の脆さや不確証さ、他者── 隔たり、異なる存在の必要性をささやかに提示するものであることを願う。

 

Soh Souen

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